たまりば

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衆院総選挙もあることだしね。


衆院総選挙もあることだしね。

タイトルこそ「アジア辺境論」ですが、これが現在の危機的というか独裁制に移行しつつあるとしか思えない末期的な日本の政治状況と民主主義に引きつけて、その問題点と発生原因を解き明かしてくれちゃって、そこにズバズバと小気味よく切り込んでいて、知の巨人級のお2人の学者の慧眼に改めて脱帽しちゃうのです。
面白すぎて困るくらいなのだが、こんなの読んで喜んでいる俺みたいなバカはこの国では今や圧倒的少数派なんだろうな。そもそもこれで留飲下げたって状況は変わらないどころか悪化の一途だしね。
でもね、これさえ読んでおけば、来月の衆院選で国民の大多数も誤った投票行動には流されないとは思うんだけどね。
しかし最大の問題は受け皿が無いというか、その受け皿を巡って野党が大混乱中ってことなんだよな。まったくもって困ったもんだ。



▼『アジア辺境論 これが日本の生きる道』内田 樹 姜尚中/集英社新書
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0893-a/
『日本辺境論』から8年ーー。
今こそ「美しい日本」を取り戻す。
カギは日本・韓国・台湾の連帯にあり!

 アメリカ、欧州で排外的な政治勢力が台頭する中、ロシア、中国の影響力が日増しに拡大している。米ソ対立の冷戦終結から四半世紀経ち、世界各地に複数の覇権の競合関係が生まれている。はたして、その狭間で日本が生き残るためには何が必要なのか?
 その鍵は日・台・韓の連帯にあり。アメリカとの一方的な従属関係を見直し、中国、ロシアなど、スーパーパワー間にある中小民主主義国家同士の協力関係の構築はいかにして可能か。世界史レベルの地殻変動と戦後の平和国家的な国のあり方を蹂躙する近年の日本の政策を目の前に、リベラルの重鎮ふたりがその理路を提示する。

【目次】
はじめに 日本・韓国・台湾連携の夢 ――これがボクらの生きる道 内田 樹
序章 問題提起 ――自由主義はなぜこれほど脆かったのか(トクヴィルの見たアメリカン・デモクラシーはどこへ行ったのか;世界中に跋扈する反知性主義・ポピュリズムの行方 ほか)
第一章 リベラルの限界 ――「モビリティー」に無力化された自由主義
第二章 ニッチな辺境国家が結ぶ新しいアジア主義の可能性(アジアのコスモロジーを受肉させる;帝国のニッチにある韓国、日本、台湾、香港 ほか)
第三章 アジアの連携を妨げる「確執」をどう乗り越えるか(無意味な日韓の対立軸;日韓連携の話で拍手する韓国の人たち ほか)
第四章 不穏な日本の行方 ――たどり着けるか「日本の生きる道」(日本のナショナリストはただのエゴイスト;政治の消滅―公的資源の私物化 ほか)
おわりに アジア辺境の「虚妄」に賭ける ――これがみんなの生きる道 姜尚中/主要参考文献

≪著者紹介≫
▽内田 樹(うちだ たつる)
一九五〇年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授。思想家。著書に『日本辺境論』(新潮新書)、『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)、共著に『一神教と国家』『荒天の武学』(集英社新書)他多数。

▽姜尚中(カン サンジュン)
一九五〇年熊本県生まれ。東京大学名誉教授。政治学者。著書に『マックス・ウェーバーと近代』(岩波現代文庫)、『悩む力』、内田との共著に『世界「最終」戦争論』(集英社新書)他多数。

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▼信濃毎日新聞 社説 2017年9月26日
衆院選に問う 首相解散表明 筋が通らず説得力を欠くhttp://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170926/KT170925ETI090003000.php

安倍晋三首相が28日の臨時国会冒頭の衆院解散を表明した。

 2019年10月に消費税率を10%に引き上げる際、増収分の使い道を思い切って変えたいとした上で「国民との約束を変更し、重い決断をする以上、信を問わなければならない」と述べている。幼児教育の無償化などに使う考えだ。

 唐突な提案である。具体的にどう使うのか、財政再建はどうするのか。詳しい中身が分からないのでは有権者として判断しようがない。なぜ今、衆院選なのか。記者会見を聞いても疑問が消えない。

   政治の節度どこに

 14年の解散時を思い起こさせる会見である。前回は消費税率の再引き上げの延期について判断を仰ぎたいと解散に打って出た。争点が曖昧な選挙戦は、最後まで盛り上がりを欠いた。

 説明の分かりにくさは今回も共通する。初めに解散ありき、消費税の使途変更が後付けの理由なのは明らかだ。

 衆院議員の任期満了を来年12月に控えている。時期を逃せば「追い込まれ解散」を余儀なくされかねない。野党第1党の民進党は離党者が相次ぎ、小池百合子東京都知事の側近議員らによる新党も準備が整っていない。今なら有利と判断したのだろう。

 解散を巡り内閣に一定の裁量が認められるとしても、行使には信を問うべき十分な理由がなければならない。政権の一方的な都合で踏み切るのは解散権の乱用だ。

 国民不在、党利党略の解散表明が、当たり前のように繰り返された。首相のやり方は大義も節度も欠いている。

   国会での議論こそ

 消費税の使途変更が重大な政策転換であることは確かだ。

 旧民主党と自民、公明両党による12年の合意は増収分全てを社会保障に充てるのが柱だった。約2割を社会保障の充実、約8割を国の借金減らしなど社会保障の安定化に充てる。この方針から大きく外れることになる。

 だからといって解散を正当化することはできない。大転換であればなおさら、国民が政策の中身を理解し、是非を判断できるようにすべきだ。まず国会で掘り下げるのが本来の姿ではないか。

 野党は憲法に基づき臨時国会の早期召集を求めてきた。これに応じなかった上、議論のないまま冒頭に衆院を解散する。筋の通らない話である。

 首相が新たな看板政策として掲げる「人づくり革命」は、6月の通常国会閉会後の記者会見で打ち出された。どんな取り組みを進めようというのか、柱の一つである教育無償化を含め、具体的な政策は分からない。

 消費税の使い道を変えることには、自民党内でも「思い付きでやられては困る」などと異論が出ている。議論が不十分なまま、急ごしらえの公約を示されても判断材料にはならない。

 加えて見過ごせないのは、財政再建との兼ね合いだ。20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという政府の目標について首相は達成困難との認識を示している。

 もともと絶望視されていたのに堅持すると繰り返してきた。消費増税分を予定通り使っても、赤字が残ると試算されている。使途変更と合わせての表明は目くらましのようなやり方だ。

 財政再建の旗は降ろさないと述べたものの、具体策は今後定めるとするにとどまる。財政規律が緩み、借金はますます膨らみかねない。子育て支援、教育無償化と聞こえのいい言葉を連ねながら、将来世代への付け回しを続けるのは矛盾している。

   疑惑をごまかすな

 今回の解散には森友学園、加計学園を巡る疑惑の追及を避けたい思惑もあるだろう。

 国有地が破格の安値で払い下げられ、国家戦略特区制度を利用して半世紀ぶりの獣医学部新設計画が進められた。行政の在り方がゆがめられなかったか、首相側の意向が決定に影響しなかったか。疑惑は残ったままだ。

 6月の会見では、通常国会での自身の答弁姿勢について「深く反省する」と述べ、「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と表明していた。きのうも「丁寧に説明する努力を重ねてきた。今後もその考えに変わりはない」としている。

 森友の国有地問題で会計検査院の調査報告、加計の獣医学部については文部科学省の審議会の新設認可判断が控えている。この時期に解散しながら「丁寧な説明」を口にしても説得力はない。

 国会では記録がない、記憶がないと繰り返す政府側の答弁で堂々巡りが続いた。閣僚や自民党議員の相次ぐ問題発言と合わせ、「1強」政治のゆがみ、おごりを感じさせる問題である。解散ではぐらかされるわけにはいかない。