たまりば

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≪「修羅」失われた記憶≫展も残り会期は1週間!


≪「修羅」失われた記憶≫展も残り会期は1週間!













古都・鎌倉の小町通りを埋め尽くす観光客の喧騒から一歩入ったその場所は表通りの賑わいから一転して静かな空間でした。

1枚の写真であっても、それは静かにかつ雄弁に何かを伝え、語ってくれるものだと思います。強度のある1枚の写真がその後の人生を変えることだってあるような経験も学生時代にしたことがあります。

今回の十文字美信先生のポストカードから思い浮かんだものを僕の陳腐な言葉に変換すれば「失われつつある猛々しいほどの野生の時代」って気分かなぁ。
「満月の夜は野生を!新月の夜は知性を!」なんて粋なスローガンがそのMCには存在します。曖昧模糊とした時代の空気ってヤツに飼い慣らされたり流されたりするのだけは僕は御免こうむります。
突き抜けた格好良さとかダンディズムや粋といったものをこの写真からは感じます。そして、吠え、叫び、怒り、不敵に且つ思いっきり笑う男の姿も目に浮かびます。
撮影された1967~68年頃の広大な埋め立て地に延びる真っ直ぐな道路も消え失せて、今はアスファルトで固められた道路と巨大なコンクリート建築物の下に眠るわけですが、当時はどこまでも延びる果てしなさを思わせてくれる舞台だったと思います。
ベトナム戦争が暗い影を落とし、カウンターカルチャーや若者たちの全世界的な造反の季節ですから、そんな複雑な時代背景さえ漂ってくる気がします。
青春時代特有の得体のわからない苛立ちや、その呪縛からの豪快な解放ともいえる結末が、この1枚には続いています。

写真から何を感じ取るかは各々の自由でしょう。
一連の「藤崎」と銘うたれた作品の解説は巨匠・十文字美信さんの写真集『感性のバケモノになりたい』収録の書下ろし写真人生論に譲るとして、ギャラリー併設のカフェでは十文字ブレンドのややハードなこだわりのコーヒーも味わえます。
そう、このコーヒーは貴方にとっての「600マイルブレンド」に加えられることになるのかも知れませんよね。

この写真集のPRESS RELEASEも発見したので、下記に書き留めておきます。後日、このポストカードを横浜の某老舗JAZZ喫茶のトイレでも発見しました。

▼写真家・十文字美信ブログ 写真と珈琲のバラード(41)
https://jumonjibishin.com/ja/2018/04/15/the-ballad-of-photo-and-coffee-41/#more-5213
http://galleryb.jp/ja/collections/fujisaki/#3

BISHIN JUMONJI GALLERY
十文字美信写真展:「修羅」失われた記憶
会期:2018/5/23(水)~6/25(月) 11:30~18:30 火曜休廊
〒248-0005 鎌倉市雪ノ下1-7-22
0467-61-3755

▽『CAFÉ BEE』(カフェ・ビー)  http://cafebee.jp/

▼写真集『感性のバケモノになりたい』十文字美信:2007年/求龍堂
http://www.kyuryudo.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=050000000049&search=%BD%BD%CA%B8%BB%FA&sort

新刊のご案内
感性のバケモノになりたい 十文字美信 写真

MOMAに展示された処女作≪首なし≫から「暴力写真家」の異名を冠されたグラビアヌード
20代の未発表作品、伝説の実験的試み、そして国宝から60歳の最新作まで、40年・全26テーマ・272点を収録。

十文字美信のバケモノざまを堪能する最高濃度の写真集、初の大集成、遂に敢行。
          〇
著者書き下ろし、写真人生論「見えないものについて」(400字×100枚)収録

≪内容≫
1970年代の広告写真に強烈な時代的名作の数々を残しながら、その枠にとどまることなく圧倒的技術力と感性により、縦横無尽に写真表現の可能性を展開し続ける十文字美信。

ハワイ日系一世を10年間取材した『蘭の船』(81年、伊東信男賞)や、日本伝統文化を「黄金」という切り口で見せた『黄金 天風人』(90年、土門拳賞)、3Dインスタレーション『黄金浄土』がボストン美術館で公開されるなど、国内外で高い評価を得ながら、あまりに広いジャンルと深い造詣により、写真界では異端的な存在とされてきました。

本書は、はじめてカメラを手に、何かをつかもうとあがいていた20代の実験的試みの数々から、処女作品がニューヨーク近代美術館に並ぶという鮮烈なデビューを飾った「Untitled」≪首なし≫、異色ヌードの≪暴力写真家と呼ばれて≫、そして自殺体験を視覚化した≪グッドバイ≫、ミノクッスによる≪グランドギャニオン≫などの実験的な試みから、60歳の最新作の撮下ろしまで、未発表作品を含む、全26テーマ・272点により十文字美信40年の軌跡を一堂に展開し、創作の通底にある「見えないものを写す」という世界を体感できる構成になっています。

著者書き下ろし写真論「見えないものについて」では、あまりに超人的な創作力を支える思考の謎の一端にふれつつ、そして、悩み苦しみながら、写真が自分から離れなかったという、人生論としても圧巻です。

「感性のバケモノになりたい」と、常に感性を研ぎ澄まし写真に挑み続ける十文字美信の“創作の源泉”を伝える本書は、「写真表現の可能性と表現の喜び」を伝える一書として、未来の表現者世界をはじめ、同世代へのエールとしても、広く支持されることを期待しております。

〇仕様
書名/『感性のバケモノになりたい 十文字美信 写真』
仕様/B5変形 238×178ミリ ソフトカバー
総頁/528頁(カラー126頁)
総図版点数/272点(ダブルトーン179点、カラー図版93点)
付/著者書き下ろし写真人生論「見えないものについて」400字×100枚程度
刊行予定/2007年12月初旬