たまりば

車・バイク・乗り物 車・バイク・乗り物その他 その他

バイク乗りにとっての聖地訪問♪

バイク乗りの「聖地巡礼」?
単車が似合うハマのJAZZ喫茶?
逆≪600マイルブレンド≫の世界か?

バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


バイク乗りにとっての聖地訪問♪


ここ暫く言葉を探していました。
昔、何処かで目にした筈のテキストの在り処を忘れてしまって彷徨っていたようなものです。
それが誰の文章で、おおまかな内容までは覚えていても、それがどの本で読んだのかをすっかり忘れていたのです。

それは2009年に他界されたジャズ評論等で有名だった平岡正明さんが2006年に公開された映画『ヨコハマメリー』パンフレットに寄せた≪港のメリー、噂にあらず、幻にあらず≫という推薦文でした。
書籍からばかり探していたので道理で見つからなかった訳です。

それは、≪ここ十年来の横浜の映像のなかでいいものは、一つは崎陽軒のシューマイ弁当のテレビCMだ。中華街はずれ、三軒の葬儀屋にかこまれたジャズ喫茶「ミントンハウス」の店主オイドンが、ほの暗い店内から毛筋ほど細かい雨の降る戸外を見て、「町も店も古いのがいいなあ」と言う。逆光でとられたカラーが、モノクロに近く、鈴木清順がとらえた昭和初年のカフェの感じだ。≫で始まる書き出しでした。
平岡正明さんといえば本年5月末に『平岡正明論』という大書が出たばかりです。

バイク乗りたちのバイブルのひとつに週刊プレイボーイで連載された劇画『ケンタウロスの伝説』(オサム原作/御厨さと美画 1981年刊)があると思います。
実在のモーターサイクルクラブの逸話をベースにした硬派な世界に当時魅了されたのは僕だけではないはずです。
作品中、度々登場するのが『MINTON HOUSE』(ミントンハウス)という実在の横浜のジャズ喫茶でのシーンです。劇画の中では横浜の喫茶店から神戸の喫茶店「路地」までコーヒーを飲む為に日帰りの高速ツーリングをするエピソードを「600マイルブレンド」として描いています。神戸の喫茶店のモデルとなったのが三宮の「茜谷珈琲店」とされていますが、横浜の喫茶店は『MINTON HOUSE』としてきっちり登場しています。
つまり、このジャズ喫茶はブームを呼んだ劇画に登場する実在のお店でもあったのです。
その意味では僕にとっては憧れと畏敬の聖地のひとつでもあります。
ぶ厚く重い木の扉の向こうの暗がりは、異形の騎士たちの群れる場所でもあるのです。魔窟とまでは云いませんが、それに近い“異界への扉”のようなものでしょうか。
まぁ、十人十色で好き嫌いは別れるとは思いますが、僕は好きな世界です(笑)。

横浜のミントンハウスのOPENは1975年ですから、この地で早43年目の歴史があります。やや不愛想にも見える名物マスターと壁を埋め尽くす3500枚のLPレコードと背丈ほどありそうなスピーカーから流れる大音量のジャズがもてなしてくれます。
僕みたいな田舎の少年にとって都会の「ロック喫茶」や「ジャズ喫茶」は半ば憧れの空間でもありました。
半世紀近く前のジャズ喫茶なら「私語禁止」なんて店も多かったそうですが、最近はジャズバー的な業態に移行する場合も多く、ここ横浜のミントンもお喋りは可能なのでご心配なくです。
「ジャズ喫茶とは何か」という命題や定義には難しい問題もありますが、現代的な感覚や解釈ではBGMよりは明らかに大きな音量で客にジャズを主にレコードで聴かせることを主目的とした店というアバウトな捉え方でも僕はよいと思っています。

子供の頃、家にあるのはお粗末な卓上プレイヤーくらいでした。
夜間部の学生として上京して働きだして冬のボーナスで秋葉原でコンポを組みましたが、4畳半1間の木造モルタルアパート暮らしでは隣との壁も薄くて大枚叩いて手にいれたオーディオも蚊の鳴くような音量でしか鳴らせないのが現実でした。
そんな貧乏学生の都会暮らしですからレコードを大きな音でかけてくれるジャズ喫茶やロック喫茶がオアシスだったのです。
有象無象が集まるそこが≪文化の拠点≫でもあった時代が存在しました。

最近は「ライダーズカフェ」の類が全国的にブームですが、昭和な世代の僕みたいな時代遅れで初老の小汚い冴えないおっさんには流行の人気スポットとかはキラキラ眩しく見えてどうにも気恥ずかしくて訪問するにもとっても勇気が要ります(笑)。洗練されたファッションに颯爽と身を包んだスマートなライダーが溜まっていると「俺なんて場違いでしかないよな」と小心者の性格も相まってついつい気後れというのか躊躇しちゃうんですよね。
そんなわけで、安心して入れるのは昭和レトロな純喫茶や街の洋食屋さんや路地裏や場末といっては失礼ですが嗅覚が頼りのそんな場所の店ばかりを好む傾向にあります。
それに僕自身が無類の音楽好きでもあるので、それなりに店主の音楽へのこだわりといったものにも魅かれます。

さて、横浜の「ミントンハウス」に話を戻すと、この店が売れっ子作家の推理小説に登場したことがあります。
しかしこれには落ちがつきます(笑)。
後世「ミントンハウス・異邦の騎士事件」と語られるようになるかもしれません(笑)。

島田荘司さんというミステリー系の作家さんに“御手洗潔(みたらいきよし)シリーズ”というのがありまして、1988年に出た『異邦の騎士』という作品を随分と昔に文庫本でたまたま読んだことがあります。
作品中にも「ミントンハウス」が登場しますが、笑ってしまったのは作者の後書き「異邦の扉の前に立った頃」の中でこんな記述を発見したことがありました。

曰く、「吉祥寺のジャズ喫茶やロック喫茶で時を過ごし、マージャンに逃避する友人たちからは遠く離れて、やるせない思いを抱いたまま、横浜へ一人ドライブした。石川町の運河のほとりに、今はもうなくなったがミントンハウスというジャズ喫茶があった。今ならとても考えられないような真っ暗な店内で、ここが気に入り、表の道に停めた車が駐車違反のステッカーを貼られないかと終始怯えながら、店内で何時間も過ごした。」という件です。

僕はこれを読んだ時に思わず「えっ~!まぢ!?ミントンが過去のものにされちゃってるよ」と驚きました。
でも大丈夫、ミントンは今も同じ場所も相変わらず営業中です。
先日(6月9日)も女房の誕生日ってこともあって、昼は都内某所のロックなDJ付タコスパーティーにお邪魔してランチ、その足で横浜のダークなスポット観光の流れで、中華街「興昌」でチャーシュー丼を食べた後でミントンでコーヒーをお替りした記憶がありますので、やっぱりミントンはそこに確かにありました。

通常、大きな出版社なら「校閲部」って部署がありますし、大作家先生の記述であっても担当編集者がチェックすればそのお店が今も営業中かどうかはインターネットが普及する前の時代とはいえ、電話帖と電話1本で確認作業が出来たはずなのでちょっと軽いショックを受けました。通常なら起こり得ないミスのような気がしたのです。ちなみに、この後書きは文庫本化に際して1991年に書かれたもののようです。

当時の文庫本は棄ててしまったのか見つからなかったので、1997年に出た【改定完全版】の同作を開いてみました。
本文中で「ミントンハウス」のことはこんな風に描かれていました。

「歩くうち、陽が落ちていく。よどんだ水の色が、真っ先に夜の色に変わっていく。そろそろ引き返そうかと迷っているうち、ミントンハウスというジャズ喫茶を見つけた。たそがれ時の住宅街に、ポツンと明かりがともっていた。重い木の扉を押して入ると、板張りの床がわずかに鳴る。天井の、蛍光灯の入ったアクリル乳板のボックスが茶色のスプレーで汚されていて、店内は倉庫の中のように薄暗かった。枯れたジャズギターが鳴っていた。音とセピア色をした暗さをかき分けるようにして奥へ進み、空いた席を見つけて腰を降ろす。そしてジャズが、体になじんでくるのを待った。スポットライトが壁の一点を照らし、そこに今演奏中のレコードのジャケットがかかげられている。黒人の顔写真が見える。そのレコードが終わり、次のものが始まる。これもギターだ。アップテンポ、精いっぱい陽気な感じ。ジャケットがさしかえられる。黒っぽかった絵柄がピンクに変わった。このリズム、録音の状態などから、初期のジャズと解る。チャーリー・クリスチャン---?ジャケットの文字がそう読めた。」

とあります。どう読んでも僕が知っている山下町のミントンハウスの描写です。
しかも小説内ではお店で流れている設定のLPが明らかに『ミントン・ハウスのチャーリー・クリスチャン』(1941年録音)なんですからアルバムタイトルと店名を引っかけてくれてもいます。
ミントンを小説の後書きで過去のものにしてしまったというあり得ない初歩的な確認ミスから、どうやらこの作家さんは心を痛めていたようです。そりゃそうだよね(笑)。

2004年に「島田荘司 『異邦』の扉に還る時」(原書房)という日記のような変わった本が出版されました。
もしかするとミントンへのお詫びのつもりだった気がします。
収録された書き下ろし小説『海と毒薬』は、『異邦の騎士』のスピンオフ作品に位置付けられると思いますが、この中でこんな件があります。

≪最近、「異邦の騎士」事件の頃に何度か行った、ジャズ喫茶の「ミントンハウス」に入りました。辛い思い出を導きかねない場所だけれど、読者からの一通の手紙が、ぼくに一年発起をさせたのです。なくなったとばかり思っていたあの店ですが、まだあるらしいと知り、ぼくにとってはなかなかの決断でしたが、散歩気分でぶらぶら行って、思いがけなくぽんと店の前に出たので、あ、やっぱりまだあったんだ、前と同じだと思い、入ることにそんなに躊躇せずにすみました。こんなに近くだったのに、訪ねたのは本当に久しぶりで、あの頃以来です。あのあたりは、なんとなく歩かないようにしていましたから。君もきっとそう思って、あの店のある小路は、散歩のおりには避けていてくれたのでしょう。(中略)少し暗い店内は見事にあの頃のまま、蛍光灯の入った天井のボックスを汚す茶色のスプレーも、木造りのスピーカー・ボックスも、カウンターに付属した合板性の椅子も、すべて当時のままでした。まるきり時間が停まっていたみたいで、なんだかすっかり感動してしまいました。≫と更にまだまだ長々とミントンについての記述が続くのです。

しかもこの本では作家とマスターのおいどんも交えて「横浜ミントンハウスで、ジャズと時代を語る」というタイトルで興味深い6ページ物の鼎談も組まれていました。
本の表紙も思いっきりミントンハウスのまんまでした(笑)。
以前、この本は出版当時にミントンハウスの入口近くの壁のラックに立てかけたあったのを見かけた記憶があります。
 
実は私はこの島田荘司って作家さんが苦手意識なのか『眩暈』と『異邦の騎士』の2冊しか手にしたことがない気がします。この作家さんもバイク乗りらしく第三京浜を飛ばしてはよく山下公園辺りに出没していたそうです。でも、同じ島田姓の作家なら島田雅彦の方が個人的にはまだ好みかなぁ~(笑)。

そもそも現存する日本最古のジャズ喫茶「ちぐさ」にしても横浜の店ですし、戦前の1933年からあり、横浜大空襲で焼失していますが戦後も場所を移して再建されています。横浜は海外に開かれた港町ですから大正時代には既にジャズらしいものが文化として入ってきたとされています。定説では横浜を出航したアメリカ航路の客船「地洋丸」上で演奏されたともされていますが、これは明治時代の1912年ですから、横浜とジャズの関係は優に100年以上に渡ることになります。やっぱり横浜はジャズと親和性の高い土地なんですよね。

仕事の休みがとれなかったり、休日なのに雨だったりと、どうにもテンションが上がらず、もっぱら「晴耕雨読」じゃないけれど「晴RIDE雨READ」?ん?「晴駆雨読」?「晴行雨読」?「晴征雨読」?
まっ、なんでもいいんですけど、こんな季節は読書に限るかもね。
もうすぐ梅雨も明ける。

ミントンハウスの斜め前には「恵びす温泉」なんて銭湯みたいな場所もあります。ここで汗を流してノンアルコールビールを片手にJAZZとヨコハマの夜の冷気に酔うなんてのは一興かもね。

▼ジャズ喫茶 愛されて39年
MINTON HOUSE「崎陽軒」CMでも話題に
https://www.townnews.co.jp/0113/2014/05/22/237024.html
▼朝日新聞 2016年04月28日付
企画特集 3【ヨコハマJAZZストーリー】
ジャズ喫茶 重い扉の先
http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/MTW20160428150280001.html
▼YOKOHAMA JAZZ BAR MINTON HOUSE
https://www.youtube.com/watch?v=WaV9irodmpI
▼『ミントンハウス』 横浜市中区山下町276
https://www.facebook.com/pages/ミントンハウス/150968594925501

▼『平岡正明論』大谷能生著(ele-king books)
http://www.ele-king.net/books/006286/

▼島田荘司「異邦」の扉に還る時
http://www.harashobo.co.jp/
▼異邦の騎士 島田荘司著(講談社文庫)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000197855

▼映画『ヨコハマメリー』(中村高寛監督/2005年)
http://hitohito.jp/index.html
▼『ヨコハマメリー かつて白化粧の老娼婦がいた』中村高寛著/河出書房新社 2017年8月末日刊
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309025933/

▽恵びす温泉 横浜市中区山下町161
https://k-o-i.jp/koten/ebisuonsen/

  • 同じカテゴリー(バイク)の記事画像
    春の目覚め 清瀬フォークジャンボリー復活
    温故知新?
    半年で5回も掲載されました。
    連載も青息吐息で10回目!
    今月号でも採用されました♪BG編集部様に感謝!
    名曲「プカプカ」にまつわる話
    同じカテゴリー(バイク)の記事
     春の目覚め 清瀬フォークジャンボリー復活 (2024-04-19 07:05)
     温故知新? (2024-04-17 22:05)
     半年で5回も掲載されました。 (2024-04-14 10:03)
     連載も青息吐息で10回目! (2024-04-12 10:51)
     今月号でも採用されました♪BG編集部様に感謝! (2024-04-11 08:22)
     名曲「プカプカ」にまつわる話 (2024-04-09 09:28)

     
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    バイク乗りにとっての聖地訪問♪
      コメント(0)