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▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.10)


▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.10)

1980年代、バイク乗りの「一揆」がございまして……。
下記のテキストは全ライダー、全国民必読でっせ!
社会インフラたる道路は発想からしてもそもそも無料(フリーウェイ)のものじゃないの?

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【出典】『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)
1984年6月22日号
≪日常からの疑問 10≫
シリーズ・こんなもの いらない!? 
●岩城元(朝日ジャーナル編集部)著

【本文】
●有料道路
「絵にかいたもち」の見本をお届けしよう。
 日本道路公団の「年報」には、
「道路整備特別措置法の規定によって決められた料金の徴収期間が満了した道路および建設費などを償還した道路は、順次に無料開放しています」
 とある。高速道路、有料道路についての説明だ。
 が、これは、すべてではないが、大部分が“ウソ”なのだ。
例えば、同公団がつくっている「国土開発幹線自動車道」のうち、名神高速道路(190キロメートル、1965年全線開通)や東名高速道路(347キロメートル、69年全線開通)は、すでに償還が終わっているはずだ。同公団もそれを否定しない。
 なのに、通行料金はタダになっていない。東京から乗用車で名神の終点の西宮まで走れば、8,800円を取られる。ガソリン代を考えれば、一人乗りだと新幹線よりずっと高くつく。あまつさえ、料金値上げの話がまたチラホラし始めた。
 タダのものがタダにならない「秘密」は、72年に導入された料金の「プール採算制」にある。プール制とは、料金収入を東名、名神といった路線ごとに区切らず、全国を一つにまとめて使う仕組みのこと。利用者が多く建設も早かった東名、名神でのもうけを、遅くにできた地方の赤字路線に回しているわけだ。だから、すべての路線の償還が終わらなければ、どの路線もタダにはならない。首都高速道路公団や阪神高速道路公団でも同じくプール制をとっている。

◆無料開放はマボロシか
 そして、プール制についての役所や公団の説明は—--
「まんべんなく高速道路をつくっていくには、路線ごとにどうこう言うことはないでしょう。いくつも路線があっても、それらがつながってしまえば、一つの路線になる。それに、東名を走っている車のうち半分は、他の路線から入ってきています」(建設省高速国道課)
「遅くつくった路線ほど、建設費が高くつく。例えば、東名はキロ当たり10億円でできたが、今つくっているところは数十億円かかっている。遅くできた地方の道路が高い料金を取られては、そこだけに不利益を強いることになる。プール制によって、料金全体が低く押さえられるわけです」(日本道路公団業務企画課)
もっとも、タダになる時期についての“めど”はある。
 日本道路公団の場合、いま開通している国土開発幹線自動車道3435キロメートルに、建設中のものも加えた5415キロメートルについては2014年になれば、という。首都高速道路も現在開通中の161キロメートルは、2004年にはやはりタダになるそうで、普通30年で償還するのが原則だ。
 だが、これも、絵にかいたもちである。
 なぜなら、このほかにも建設が決まったり、青写真として描かれている路線はいっぱいある。これらが次々に具体化していけば、それだけ建設費がかかり、通行料金がタダになる時期は先へ先へとずれていく仕掛けだ。
 それに、全部の道路がタダになってしまえば、日本道路公団などはもはや要らなくなる。「組織」がそっくりなくなるなんて、役所や公団にとっては「許せないこと」ではないか。勘ぐれば、タダになる時期が先へ先へと延びていくのは、組織防衛策の一つではないのか。
 もちろん、タダになった道路がないわけではない。国土開発幹線自動車道とは別の「一般有料道路」の場合は、償還が済めばタダになっている。こうした道路は、日本道路公団のほか地方公共団体などが経営しており、幹線自動車道を補完するもの。プール制ではなく、路線別に採算をとっているからで、日本道路公団はこれまでに約300キロメートルを無料開放している。

◆「取る側」の都合を優先
 だが、ここでも公団は、そうおいそれとはタダにしない傾向がある。
 例えば、江の島―鎌倉―逗子の湘南道路の場合、70年に鎌倉市の住民が「先に建設された江の島―鎌倉間はすでに償還が済んでいるのだから、この区間はタダにしろ」と運動を起こしたが、実現したのは5年近くたってから。「忘れたころでしたよ」と地元住民はいう。
 有料道路、高速道路にはまだ疑問がある。
 料金の区分の仕方は、国土開発幹線自動車道は①普通車➁大型車➂特大車の三つ。幹線自動車道でも近畿道や、首都高速道路、阪神高速道路だと①普通車➁大型車の二区分だ。
 このように二~三区分だけだと、例えばバイク(高速道路に入れるのは125㏄超)は、29人乗りのマイクロバスまでを含めた普通車と同じ料金を取られてしまう。二区分、三区分ではいささか不公平ではないか。
「いや、安全な車間距離とかを考えると、バイクも結構、道路を占有している。乗用車とそんなに変わらない。損をしているとは考えないで、損をしている程度が少ない、と考えられてはいかが」
「徴収技術面での問題もあります。車種区分が増えれば、料金所でそれを見極めるのに時間がかかって、間違いが起きる。渋滞の原因にもなる。機械装置も変えないといけない。逆に経費がかさんで、値上げにもつながりかねません」(建設省、日本道路公団、首都高速道路公団)
とはいえ、幹線自動車道だって72年までは5車種に分けていたし、現在でも一般有料道路になると、軽自動車やバイクに安い料金を設けていたりもする。
 疑問はさらにある。
 私はよく、首都高速道路で銀座から高島平までを利用するが、普通なら15分程度で行けるのに、渋滞で30分からときには1時間程度かかることさえある。しかも、高速道路の入口に「渋滞〇キロ」の表示があれば我慢もしよう。何の表示もなく、事故もなかった場合は、いくらかカネを返してくれてもいいのではないか。国鉄だって、2時間以上遅れれば、特急料金を払い戻してくれるではないか。
「いえ、いえ、高速道路の通行料金は特急料金、急行料金とは性質が違います。高速道路に乗ったら『時速何キロメートルで走れて、何分でどこどこにお届けします』という約束はしていない。料金は施設を利用した対価で、一種の税金です。ただし、渋滞の表示を迅速にするために、いま機器を新しいものに変えつつありますが」(首都高速道路公団経済課、同管制技術課)
欧米だとタダのところが多い高速道路は、わが国では有料が原則だ。これは、遅れていた道路を急速に整備しなければならなかったからで、一応は仕方のないことだろう。
 だが、「有料」の中身があまりにも、「取る側」の都合を優先しすぎてはいまいか。

【コラム】
*バイクの反乱*
「バイクの通行料金が普通車と同じなのはおかしい」と、バイクのライダーたちが反乱を起こしている。
 25歳の東京の会社員、小池延幸さんが事務局長を務める「バイク差別と闘うライディング・ハイ連絡会」(会員約100人)がそれで、「バイクの通行料金は、道路整備特別措置法に定められた『公正妥当なもの』とは言えない」との主張。1万人の賛同者を募って裁判に持ち込もうと、いま全国運動を展開中だ。
 その弁護士で、自分もバイクで走り回っている大津卓滋さん(東京国際合同法律事務所)は言う。
「バイクと普通車では、そもそも道路の傷み方が違う。四輪車とケンカするつもりはないが、バイクは2人乗りも禁止されているのだから、まあ半額は返すべきではないか。1万人訴訟の委任状をくれたのは、まだ400人ほどだが、夏か秋には第1波の訴訟を起こしたい」
 その際には、訴訟を起こす一人ひとりが「私は昭和〇〇年〇月〇日、〇〇高速道路を〇〇入口から〇〇出口までバイクで走りました」との報告書に、普通車と同額を取られた「領収券」を張り付けて提出、料金の返還を求める証拠書類とするそうだ。

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■原理原則論として理論的支柱になったかも!?

その昔、学生間で「右手に(朝日)ジャーナル、左手に(少年)マガジン」なんてフレーズが存在した時代がありました。
僕も大学入学以前から読んでいたのが「朝日ジャーナル」(1959~1992年)でした。
60年安保~70年安保と激動の政治の季節を団塊世代や全共闘世代と共に駆け抜けた硬派な週刊誌でした。僕の学生時代には“ニューアカデミズム”路線でしたけどね。

その朝日ジャーナルの創刊25周年記念号から始まったのが「日常からの疑問 こんなものいらない!?」シリーズでした。割と好評な連載企画だったという印象があります。

さすが朝日ジャーナルだけあって、この国の貧困な道路行政と嘘っぽいカラクリを極めて根源的な問題まで掘り下げていると思いました。

後にこの記事が新潮文庫『現代無用物辞典』(朝日ジャーナル編/昭和60年12月)に収録されて出版された時には内容もちょっと更新されていて、ライディング・ハイの会員数は「約180名」に。実際に既に提訴も行っていたので、≪そして、小池さんたち千人は「バイク差別」を裁判に持ち込み、いま東京地裁で審理中≫とアップツーデートされていました。
記事タイトル「有料道路」に続いて、「この道は、いつか、来た道。アーア、ソォーダヨォオ。タダにならぬイやな道だね。」の一節も書き加えられていました。

【文責】小池延幸(57)/ZRX1200 DAEG
明治学院大MC『井戸端会議』初代総長

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≪参考資料≫『百騎百景』投稿先過去リンクまとめ!お時間のある時にでもよろしくね♪

▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.01)
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▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.02)→結成報告/読売新聞
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▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.03)→第1波提訴報道/朝日新聞
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▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.04)→第1波提訴報道/毎日新聞
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  • ▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.09)


    ▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.09)



    ■警察がピリピリするくらいの集会もやってたよね♪(笑)

    掲載雑誌名も忘れちゃったけど、これは1984年8月24日から25日にかけて長野県茅野市蓼科高原温泉郷もんがく平貸別荘地で開催された『Bike Jamboree’84』の模様を報じた活字系週刊誌のグラビア記事です。レイアウトが写真週刊誌風の影響ですね。
    この時は「テレビ朝日」の夕方のニュース番組取材も入っていて事前に現在の六本木ヒルズのけやき坂上の「旧テレ朝通り」にあった同局に打ち合わせで赴いた気がします。

    大学のバイクとロックの融合体サークル「シェルター・ピープル」の部室からはPA類をレース用のトランポに積み込み、集会冒頭のSEは映画『ローズ』(1979年)のサウンドトラックの1曲目のご機嫌なナンバー『フーズ・サイド・アー・ユー・オン』でした。ベッド・ミドラー主演のジャニス・ジョプリンをモデルにした作品ですがサウンドトラックが名盤だよね。オープニングに相応しいセンスの良い選曲は明学大の軽音出身のE・Kくんかな。血が滾(たぎ)るナンバーです。

    ▼The Rose - Whose side are you on
    https://www.youtube.com/watch?v=xlWoNx8oRlc

    活字週刊誌の文体って何かと皮肉っぽかったり、他人を揶揄するような切り口の内容ですが、あまり気にはしなかったな。そんなことよりもバイク専門誌ではない媒体も利用して広く世の中にこの運動の存在を知らしめることの方にウエイトを置いていた気がします。多少の不満はあってもマスメディアから無視や黙殺の方が悲しいというか辛いからね(笑)。

    記事中、『学生二輪倶楽部連盟』(学二連)が登場しますが、当時彼等「中部学二連」や「九州学二連」地区ブロックメンバーには大変お世話になりました。
    彼らは全国の各大学の二輪サークルの巨大な連合組織で、建設省や日本道路公団に高速道路料金問題で「公開質問状」を提出したり、署名運動等も積極的に展開していました。
    「学生は時代の脇腹」なんて言われるくらいですから、いつの世も若者たちの瑞々しい感性は敏感なものなのです。

    それにしても1984年当時の僕達はRH(ライディング・ハイ)を立ち上げたり、訴訟の準備をしたり、高速道路を集団走行したり、こうやって夏集会したりと随分と忙しく熱い季節を経験していました。退屈なんて言葉はなかったよな(笑)。そして、それが翌年の集団訴訟の実施や、日本初のバイクデモの実現に向かっていったわけなんだよね。

    【文責】小池延幸(57)/ZRX1200 DAEG
    明治学院大MC『井戸端会議』初代総長

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    【出典】『週刊大衆』?(記憶曖昧月号不明)グラビア頁 「EXCITING CAMERA」
    1984年 夏頃

    【タイトル】
    バイク・ライダーが“差別”撤廃に起つ!「高速料金の差額を返せ!」

    【本文】
    「集会当日の朝、地元の諏訪署の交通課長が“責任者と面談したい”と訪ねてきたり、集会の2、3日前に幹部会員の自宅に“集会の主旨は?参加人員は?”などの問い合わせ電話がやはり諏訪署からはいったりで……。そりゃ、もう神経質になってましたね」(『バイク・ジャンボリー』実行委員会)
    先月25日午後、長野県茅野市・蓼科高原に、突如、場違いな(?)一団が出現。全員がヘルメット姿のバイク・ライダー。ナンバーも九州あり、大阪あり、愛知あり、神奈川あり、東京ありでまちまち。年齢は圧倒的に多い20代にまじって30代、40代もチラホラ。女性の姿もみえる。その数ね120人。
     いったい、ナニが起こった!?
     実はこれ、学生、会社員、弁護士、雑誌編集者ら“まじめライダー”で結成された『バイク差別と闘うライディング・ハイ連絡会』が、全国の仲間に呼びかけた第1回の“決起集会”。今回の集会は“徴収し過ぎ”の高速道路料金の返還を建設省、道路公団を相手どり集団訴訟で求めることをメインテーマに開かれた。
    「高速料金はバイクも普通車も同じなのに、最高速度ではバイクが80キロ、普通車は100キロ、20キロの差がある。おまけにバイクは2人乗り禁止などなにかと規制が多い……。日本にはバイク人口が150万人いるけど、誰もがおかしいと思ってるハズ」(『バイク差別と闘うライディング・ハイ連絡会』事務局)
    集会は、≪日本のバイク環境はどうなっているんだ!!≫≪(高速道路料金返還)一万人訴訟≫などの講演、ディスカッションで深夜まで……。そのあとは酒をくみかわしながらの交流会、熱気ムンムンの一夜がすぎた……。
     が、参加者からこんな声も。
    「『学生二輪倶楽部連盟』のほうから呼びかけられて、北九州の八幡地区からきました。300人集まると聞いていたんだけど、思ったより参加者が少なかったなぁ。ボクらに動員がかからなかったら、どうなったんだろう?」(■■■■クン=学生・21)

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    ▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.07)→東名高速集団走行会?
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