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▽まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(番外編その9)

▽まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(番外編その9)

「造反有利」!1980年代、「バイク乗り」自身による大きな「異議申し立て」運動の歴史がこの国でもあった事実をココに刻んでおきたいと思います。

▽まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(番外編その9)


■ライディング・ハイ「吉本論文」全文公開!

学生時代からの“ポン友”(死語!)に通称「ツトムちゃん」という奴がいる。通っていた大学は違ったが、俺がZ400FXで、奴がRZ350で時々ツルんで遊んでいたような気がする。俺がGPZ400に乗り換えた頃は、奴は250ガンマだったりもした。奴は2スト派だ。
悔しいことに奴は俺よりかなりオツムが切れる。
某有名“暴走族”出身とのもっぱらの噂だが、理論派である。直情行動派の俺とは対照的なタイプだった。おまけに奴は俺より漢字をよく知っていた(笑)。だから俺が漢字を書き間違えたり、読み違えると「バカでぇ~」と腹を抱えて涙を流しながら笑っていたことを昨日のように懐かしく思い出す。
おまけに奴の文才は「詩人」級でもある。参謀役としては頼りになる筈なのだが、弱点は“時刻定刻主義打倒趣味者”であるらしく、待ち合わせ時間にややルーズなことくらいか・・・。お昼に渋谷で待ち合わせして、「ごめんごめん、過ごしちゃって」と奴がやってきたのは日が暮れてからだったなんてのはザラだ(笑)。下宿先のアパートに電話を引いてるリッチな奴なんてまだ少なかった時代だから携帯を鳴らして起こすなんてことも出来なかったわけだ。
本来、智恵袋の筈なんだが、ついたあだ名は「歩く笑い袋」であったのは誰からも愛されるキャラだったことが示している。
“ライディング・ハイ”ではその才能から会報の編集長をやっていた。
バイクで走るのも、バイクをイジるのも、こうやって文章を書くのも、“路上の表現者”としての僕らにとっては同義語でした。

そのツトムちゃんが「バイク・ジャンボリー1984」に寄せた論文が発掘されたので本人の承諾なんてなしで掲載しちゃおうっと♪(笑)
当時、学生バイク乗りでここまでカチッとした文章を書ける奴は俺の周りには少なかったなぁ。33年前の文章ながら、ネットで情報も拾えない時代によく調べて書いてあるもんだと感心。賢いぞツトム!しかも鋭い舌鋒!
今更ながら「そうだったんだ・・・」と納得するオレ(笑)。
重厚長大なテキストはそれだけで敬遠されるとは思うが、一定の「理論武装」や意思共有なくしては闘えないのもまた道理なのです(笑)。

【文責】小池延幸(58)/ZRX1200 DAEG
明治学院大MC『井戸端会議』初代総長

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

【出典】
「バイク・ジャンボリー’84」プログラムより  1984年8月25日発行

【タイトル】
高速道路問題と我々の課題  
吉本悟(バイク差別と闘うライディング・ハイ連絡会)

【本文】
●はじめに

我々はライダーである。モーターサイクルが我々に与えてくれる世界の広がりは計り知れないものがあり、モーターサイクルは我々に
とって単なる空間移動の手段の域を越えているといえる。現に我々の周囲にもモーターサイクルの世界に惹かれてバイクに乗る若者たちは後を断たない。

しかし、世界一のモーターサイクル王国である日本の二輪車交通事情は、二輪車の生産台数・性能の世界的レベルに比べて、あまりにも暗いといわざるを得ないだろう。欧米に比べて、交通社会における二輪車の社会的地位、それへの認識があまりにも未成熟のまま、生産力至上主義的発展を続けてきた日本の二輪産業。社会の中に溶け込んで市民権を得ている欧米の環境は、まさに「モータリゼーション」と呼ぶにふさわしいが、日本のそれは市民社会への大衆的浸透という点において、あまりにも社会性を欠いた存在としてあるといえる。
交通社会におけるモータリゼーションの未発達は現在までに様々な矛盾・問題を蓄積し続けており、それによる弊害は社会のあちこちで表出し始めている。同時にそれらの問題に対するライダー自身の対応の立ち遅れも否めない事実としてあっただろう。

しかし、そろそろ日本のライダーも、自覚的に主体性に立脚した行動を起こす時期に来たようである。とりわけ高速道路問題に関しては、これまでライダーの様々な運動が多くの成果を残してくれた。学二連や二輪を考える会の運動は最終的勝利には至らなかったとはいえ、現在のライディングハイの運動に大きな影響を与えている。
バイクをめぐる様々な問題をあつかい、その第一段として高速道路問題に取り組み、その具体的方法として民事訴訟による1万人の原告団で料金体系そのものに切り込もうというのがそれだ。

●高すぎる二輪車高速料金

二輪高速料金が普通車と同じである不思議さを考える前に、諸外国の高速料金体系をみよう。

まずイギリスであるが料金はタダ。ヘルメット着用は義務だが2人乗りはOKである。オーストラリアも殆ど無料。シドニー、メルボルン、ニューカッソルの3ヵ所のみ橋の通行料を取るのみ。フランスは料金が5段階に別れていて、二輪車は普通車と別料金で、もちろん最も安い。イタリアは8車種に別れていて、普通車が1000リラのところバイクは600リラである。西ドイツはすべてタダ。しかもアウトバーンの最低速度が60km/hで
最高速度は無制限である。2人乗りもOKである。アメリカは基本的に高速道路は無料。都市における一部に有料制があるようだが、2人乗りはOKである。

日本の場合は何故有料でしかも普通車と同じ料金なのであろうか。かつて学二連が1979年に建設省に公開質問状を送り、それに対して建設省からきた回答やその後の建設省の言い分によると「二輪車の道路に与える損傷度は自動車と同等である。欧米先進国は殆ど二輪車と自動車とで料金の区分は行っていない(当然だ。殆どが無料なのだから)。乗用車は平均1.2人しか乗っていないので二輪車も2人乗り禁止。二輪車のスピードは自動車と同じか若しくは大きい程度である(高速道路でのバイク80km/h制限を知らないとでもいうのか)から自動車と同じ車種区分である(!?)」というもの。
日本の高速道路の二輪車に関しての実態は、まさに論理性を欠いたものである。
建設省の矛盾だらけの論理ではなおさら説明できない 

しかも、その回答文には「道路整備特別措置法に定められた高速自動車国道の料金の決定原則は第1に新設改築その他の管理に要する費用で政令に定めるものを償うものであること(償還主義)、第2に公正妥当なものであること(公正妥当主義)の2つである」とあり、「個々の車種ごとに料金比率を決定することは負担の公平という見地からは好ましいに違いない」と明記している。
それにも関わらず、「車種区分の細分化は料金徴収業務の煩雑化による管理費用の増大・トールゲートにおける利用者の時間的損失の増大を招く(?)」ので二輪車などは29人乗りのマイクロバスと同じで当然というのである。
そうだろうか?
それならば神奈川県の「第三京浜」などは車種区分はちゃんと細分化しており、二輪車は普通車の3分の1程度の料金であり、これなどはどう説明するのだろう?
一応「高速道路」ではない形をとっているので関係ないということのだろうか?私もよく第三京浜を利用するが、ゲートでの所要時間は一般高速道路と全く変わらないどころか、むしろゲート数が多い分早いくらいである。このことを考えても建設省の言い分は全く説得性を持ち得ない。それどころか二輪車を走らせない意図さえあるのではないかとさえ思えるくらいだ。実際、過去の学二連の闘いの過程で、建設省の役人は文章で明記することは避けているが、「二輪車は(高速道路を)通ってほしくない」とさえ言い放ったという。こんなことがあっていいのだろうか。
 
 日本の道路整備は「道路特定財源制度」と「有料道路制度」に基づいて進められてきた。
 道路特定財源制度は、1953年に制定された「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」に基づく揮発油税の特定財源化に始まる制度だ。戦後の劣悪な道路を本格的な道路にするため、道路整備の資金を「国の一般財源だけに全面的に依存することは困難であるため、道路整備の主たる受益者である道路利用者にその負担を求めたもの」(『昭和58年度版建設白書』抜粋)である。
 
 有料道路整備は「本来無料で公開すべき道路について、整備に必要な資本の殆どを財政投融資資金の借入金によって調達し、受益者負担の理念のもとに利用者から徴収する料金収入によって借入金を償還する制度」(同書)であり、1956年の「道路整備特別措置法」制定以来、それに基づいて有料道路事業は進められてきた。
 
さて、もうお気づきだろうか?
建設省のいう「受益者負担の理念」というもの自体が、どうやら欧米とは違っているようである。歴史性の相違からか欧米の場合は、「人々が生活に利用する道路は社会的共有物」という考え方が古くから浸透しており、それが高速道路等の無料(彼らにしてみれば道路がタダというのは当然なのである)として具現しているといえるだろう。
日本の場合はどうだろう?
建設省は「本来無料で公開すべき」としながらも、利用者からの収奪によって道路整備をまかなおうとしているのである。役人のこの発想の決定的違いが現在の高額料金徴収制として表現されているのだ。国民の社会的利益を前提とする民主主義そのものの未成熟とか、民主主義の歴史の違いとして片づけてしまえばそれまでだ。
しかし、封建時代じゃあるまいし、ちょっと考えてみると「道路はみんなのもの」というあたりまえのことがまかり通らないなんて、我々はライダーである以前に、一人の人間として真摯にこの問題を考えなくてはならないハズだ。役人の発想が受益者収奪に基づいているとはいえ、我々もそれを決して看過してはならないだろう。一人一人が社会における基本的権利意識をしっかり持ち、当然の要求として行動を起こすべきである。
現に我々ライディングハイは、そのことを大前提として行動を開始している。何かを改革しようと行動を起こすと「権利ばかりを主張して、義務を怠っている」と誹謗中傷したがる輩が出てくるのは歴史の常であるが、「義務」を果たすことを口先だけで百万回唱えても、そのために人間としての基本的権利を要求することをきれいに忘却の川へ流し去っていたのなら、世の中のすべてのことは何も変わらないし、まして発展などあり得ないことを我々はハッキリと知る必要があるだろう。口先だけ、ペン先だけでは何も変わらないのだ。

●ライディングハイの運動の経過と提起

 ライディングハイは、’84年1月から実質的行動を開始した。結成時に確認された「バイクをとりまく様々な問題に取り組む」ことの第一段として当面は高速道路料金是正の法廷闘争の原告集めに奔走していく。1月7日の東京での「’83世界GP映画会」に参加し原告を募集、続く1月21日の大阪・万博ホールでの「GP映画会」では、ディスカッションの中で紹介され、片山敬済選手も全面的にライディングハイを支持してくれた。その他1月14日、2月15日にはベストバイク社企画「ヒロコのあんたらの街おじゃまさま」に参加して原告を募集。3月18日の東京モーターサイクルショーでは情宣活動を行った。5月13日には東名高速の海老名SAに集合して山中湖まで体験ツーリングをするという企画を組み、120名以上の参加者で現地でのミーティングも熱の入ったものになった。以後会議を定例化していき、関東の各支部も結成され、支部活動も活発になってきている。そして、全国のバイクをとりまく問題をあつかう団体、個人が一堂に会して交流を深め、日本のよりよいモータリゼーションの発展のために出会い、語り合う場を造っていこうと、今回のバイクジャンボリーの企画に至ったわけである。
 
 戦後高度経済成長の中で急速に「発展」してきた日本のモータ―サイクル。その性能の「発達」に道路事情はついていけていない。
また一方で、ライダーの意識もまるで道路事情と同様に低いレベルにあるのだ。ライダーであるくせに自分を傍観者の立場に置いて事なかれ主義で済まそうとする人間のいかに多いことか。レーシングスポーツに携わるレーシングライダーでさえ、積極的な人々を除いて、その多くは意識が高いとはいえない。レース人口は増加の一途だが、公道での行き場がなくてサーキットに通う者は、レースを真剣にやろうと考えている者も含めて、どれだけ交通社会と自己との関りを自覚しているだろうか。否、しようとしているだろうか。
 具体的行動により、多くのライダーたちの覚醒を促し、その人ができうる範囲の何らかの行動でそれを表現すべきと訴え続けることこそ、ライダーの責務である、と考えるのだが・・・。

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≪資料≫『百騎百景』投稿先過去まとめ!
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▼まつろわぬバイク乗り『RIDING-HIGH』の伝説(Vol.01)
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