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売れっ子作家の推理小説に登場した横派のジャズ喫茶「ミントンハウス」♪

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売れっ子作家の推理小説に登場した横派のジャズ喫茶「ミントンハウス」♪


売れっ子作家の推理小説に登場した横派のジャズ喫茶「ミントンハウス」♪


売れっ子作家の推理小説に登場した横派のジャズ喫茶「ミントンハウス」♪


売れっ子作家の推理小説に登場した横派のジャズ喫茶「ミントンハウス」♪


売れっ子作家の推理小説に登場した「ミントンハウス」♪

古いネタなので、恐らく大半の皆さんがご承知の話かとは思われますが、笑ってお許しください。
後世「ミントンハウス異邦の騎士事件」と語られるようになるのかなぁ?
島田荘司さんというミステリー系の作家さんに“御手洗潔(みたらいきよし)シリーズ”というのがありまして、1988年に出た『異邦の騎士』という作品を随分と昔に文庫本でたまたま読んだことがあります。

作品中にも「ミントンハウス」が登場しますが、笑ってしまったのは作者の後書き「異邦の扉の前に立った頃」の中でこんな記述を発見したことがありました。

曰く「吉祥寺のジャズ喫茶やロック喫茶で時を過ごし、マージャンに逃避する友人たちからは遠く離れて、やるせない思いを抱いたまま、横浜へ一人ドライヴした。石川町の運河のほとりに、今はもうなくなったがミントンハウスというジャズ喫茶があった。今ならとても考えられないような真っ暗な店内で、ここが気に入り、表の道に停めた車が駐車違反のステッカーを貼られないかと終始怯えながら、店内で何時間も過ごした。」という件です。

私はこれを読んだ時に思わず「えっ~!まぢ!?ミントンが過去のものにされちゃってるよ」と驚きました。
でも大丈夫、ミントンは今もしっかり営業中なんですもん♪

過日も女房の誕生日ってこともあって、昼は都内某所のタコスパーティーにお邪魔してランチ、横浜のダークな観光の流れで、中華街「興昌」でチャーシュー丼を食べた後でミントンでコーヒーをお替りした記憶がありますので、やっぱりミントンはそこにありましたもん。
通常、大きな出版社なら「校閲部」って部署がありますし、大作家先生の記述であっても担当編集者がチェックすればそのお店が今も営業中かどうかはインターネットが普及する前の時代とはいえ、電話帖と電話1本で確認作業が出来たはずなのでちょっと軽いショックを受けました。通常なら起こり得ないミスのような気がしたのです。ちなみに、この後書きは文庫本化に際して1991年に書かれたもののようです。
当時の文庫本は棄ててしまったのか見つからなかったので、1997年に出た【改定完全版】の同作を開いてみました。
本文中で「ミントンハウス」のことはこんな風に描かれていました。

「歩くうち、陽が落ちていく。よどんだ水の色が、真っ先に夜の色に変わっていく。そろそろ引き返そうかと迷っているうち、ミントンハウスというジャズ喫茶を見つけた。たそがれ時の住宅街に、ポツンと明かりがともっていた。重い木の扉を押して入ると、板張りの床がわずかに鳴る。天井の、蛍光灯の入ったアクリル乳板のボックスが茶色のスプレーで汚されていて、店内は倉庫の中のように薄暗かった。枯れたジャズギターが鳴っていた。音とセピア色をした暗さをかき分けるようにして奥へ進み、空いた席を見つけて腰を降ろす。そしてジャズが、体になじんでくるのを待った。スポットライトが壁の一点を照らし、そこに今演奏中のレコードのジャケットがかかげられている。黒人の顔写真が見える。そのレコードが終わり、次のものが始まる。これもギターだ。アップテンポ、精いっぱい陽気な感じ。ジャケットがさしかえられる。黒っぽかった絵柄がピンクに変わった。このリズム、録音の状態などから、初期のジャズと解る。チャーリー・クリスチャン---?ジャケットの文字がそう読めた。」
とあります。どう読んでも皆さんが知っているミントンの描写ですよね。

しかも小説内ではお店で流れている設定のLPが明らかに『ミントン・ハウスのチャーリー・クリスチャン』(1941年録音)なんですからアルバムタイトルと店名を引っかけてくれてもいます。
ミントンを小説の後書きで過去のものにしてしまったというあり得ない初歩的な確認ミスから、どうやらこの作家さんは心を痛めていたようです。そりゃそうだよね(笑)。

2004年に「島田荘司 『異邦』の扉に還る時」(原書房)という日記のような変わった本が出版されました。
もしかするとミントンへのお詫びのつもりだった気がします。
収録された書き下ろし小説『海と毒薬』は、『異邦の騎士』のスピンオフ作品に位置付けられると思いますが、この中でこんな件があります。

≪最近、「異邦の騎士」事件の頃に何度か行った、ジャズ喫茶の「ミントンハウス」に入りました。辛い思い出を導きかねない場所だけれど、読者からの一通の手紙が、ぼくに一年発起をさせたのです。なくなったとばかり思っていたあの店ですが、まだあるらしいと知り、ぼくにとってはなかなかの決断でしたが、散歩気分でぶらぶら行って、思いがけなくぽんと店の前に出たので、あ、やっぱりまだあったんだ、前と同じだと思い、入ることにそんなに躊躇せずにすみました。≫と更に長々とミントンについての記述が続くのです。

しかもこの本では作家とおいどんさんも交えて「横浜ミントンハウスで、ジャズと時代を語る」というタイトルで興味深い6ページ物の鼎談も組まれていました。
本の表紙も思いっきり皆さんのよく知るミントンハウスのまんまです(笑)。
以前、この本は出版当時にミントン内で見かけた気がします。
 
実は私はこの島田荘司って作家が苦手なのか『眩暈』と『異邦の騎士』の2冊しか手にしたことがない気がします。同じ島田なら島田雅彦の方が好みかな(笑)。

ちなみに、このジャズ喫茶ミントンハウスって、バイク乗りにとっては劇画「ケンタウロスの伝説」の中で度々シーンとして登場するお店ですよね。

▼島田荘司「異邦」の扉に還る時
http://www.harashobo.co.jp/
▼異邦の騎士 島田荘司著(講談社文庫)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000197855

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