放課後倶楽部♪DX

仮にも静岡県浜松市に生まれた僕ですから、オートバイやバンドに憧れたって環境的にはおかしくないよね。
小学生も高学年になった頃、家の裏のNさんのお兄さんがCB750FOURを買いました。ドゥルンドゥルンとエンジンのかかる音がする度に飛び出していっては恐る恐る生垣越しに羨望の眼差しで颯爽とお出かけする姿を見送っていました。
家の前の近所の子供たちの遊び場でもあった路地を挟んで『アトラスピアノ』の工場もありました。
ドブ川沿いの木造の工場でしたが、工場の上には住み込みの独身寮もあって若いお兄さんたちが住んでいたので時々お邪魔して窓に腰かけてギターを弾いている姿を眺めていたり、絵を教わったり、休日には工場のトラックの荷台に近所の子供たちをシートで身を隠させて乗せては海に連れていってくれたりもしました。
今思うと牧歌的な良い時代でした。
小学生低学年だった僕は細かいことはわかりませんでしたが、工場のお兄さんたちはきっと遠くの町から浜松に就職した人たちだったんだろうな。子供たちの遊び相手としてお世話になっている関係からか、時にはお兄さんを家に招いて一緒に夕ご飯とかも食べていたような記憶があります。

とにかくオートバイと楽器抜きには関連する下請け工場まで含めれば、それ抜きには地域経済が立ち行かない町だったんだと思います。

オートバイに関してはホンダ、ヤマハ、スズキの3メーカーの工場もありました。
というか、戦後の復興期に自転車に米軍放出の発電機用の小型エンジンを載せてオートバイメーカーが浜松でもスタートした気がします。
そんな初期のオートバイの排気音に由来するのか、浜松ではオートバイのことを「ポンポン」と呼んでいました。
「ポンポン(＝オートバイ)のエンジンがさぁ、チンチンで(＝焼けて)、あっちのクロ(＝隅っこ)に、ほって(＝置いて)きただよ」ってのが浜松弁的な用法です。
僕が学生時代にカワサキの400ccに乗り出した頃、帰省した折に近所のガソリンスタンドで給油したら「カワサキって今も、こんな“いかい(＝大きな)”ポンポン作ってるだか？」と真顔で聞かれたことがありました(笑)。
そりゃ、ホンダとヤマハとスズキのオートバイだらけの町ですからカワサキはマイナーというか非国民扱いです。
品川ナンバーの族車みたいなZ400FXを「街(まち)」と呼ばれる中心市街地のデパートの前に駐車して買い物して戻ってきたら「これ品川ナンバーってことは東京から来ただかね？」とバイクを囲んで小さな人垣が出来ていたくらいです(笑)。
どうやらカワサキ車がよほど珍しい町だったらしい。
そもそもホンダの就職試験の時にカワサキで乗りつけたもんですから試験中に「ホンダの試験にカワサキの改造バイクで来た奴は誰だ！そんな奴は見たことないぞ。赤いタンクの品川ナンバーだ。名乗り出よ」と試験官にこっぴどく叱られました(笑)。
地元の優良企業の試験には合格したけど就職しなかったんだよね。親不孝な息子でした。

何はともあれ人生7台目となるカワサキ車の納車が待ち遠しい日々です。
浜松っ子がバイクとエレキにハマるのは極めて普通だよね(笑)。

▼KAWASAKI 　ZRX1200 DAEG ファイナルエディション
http://www.kawasaki-motors.com/mc/lineup/zrx1200daeg/