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≪劇評≫風煉ダンス『まつろわぬ民』発見!

この全力公演はいよいよ来月!三鷹にて!

▼特別企画 テント芝居・野外劇の現在形
【劇評】『まつろわぬ民』風煉ダンス2017
東北百鬼夜行絵巻を 大江戸先住民が観る ~
平井玄 (批評家)
http://www.geocities.jp/azabubu/artissue/a11/011sp_hirai.html

 私はほとんど「まつろっちゃっている」。
 なんだか変な言い方だが、「まつろわぬ」の反対語としてここは許してもらおう。このオカシナな変化形の古語は「まつろふ」だ。これは「服ふ、順ふ」。服従であり従順。だから「まつろっちゃってる」私は、社内や校内の規則に、社会や世間の常識におとなしく従っていることになる。さらその起源は「奉る」に遡る。古くは「はふむしも大君に奉(まつら)ふ」と日本書紀の雄略紀にあるらしい。つまり「這う虫」たちが雄略天皇を奉る(たてまつる)ことだ。およそ5世紀後半、「大悪」と呼ばれたミカドは朝鮮半島に攻め上り、半島に内通する近畿の豪族を征圧する。それから1500年余り、ある朝目覚めると私は「這う虫」になっていた!?
 「まつろってないよ」と言う人もいるだろう。怒り、叫ぶ。その感情は自分のもの。国会前広場でラップし、ステップを踏むことだってできるぜ。誰かと共に酒場の暗がりで謀(はかりごと)さえしなければねー。そうやって私の感情にはオートストップがかかる。千代田の杜を背にした議事堂前の歩道で、私たちはみんな「AI自動安全車」なのである。
 この『まつろわぬ民』はたぶん、木村友祐の小説『イサの氾濫』を読んで飲み屋で涙にむせた白崎映美が酔いにまかせて「まづろわぬ民」を歌い上げ、それを聴いていた林周一がこれまたバーのカウンターで風煉ダンス一党と「演るしかないぜ」と謀った結果ではないか?

 この舞台の主人公は「ゴミ屋敷」である。白崎映美はじめ魅力的な役者たちには礼を失するが、このことは彼女/彼ら自身が舞台の上で感じていたことだろう。人間たちは黒い山塊から生えた手や足なのである。大道具や衣裳が生きて動くモノの演劇だ。
 小山のように積まれた大量の黒い布袋にツタが這い回り、間道や洞穴が縦横に抜け、頂きには小屋が載る。放射性廃棄物を詰め込んだフレコンバッグと、ステージを見つめる誰もが気づく。その漆黒のマッスに脳を抉られる。感じやすい心じゃない。福島の浜通りに延々と連なる黒い袋の映像を、私たちは頭蓋骨の奥深く凍結してしまい込んできたからだ。
 あの黒い山が毎日毎日ひたすら増殖し、袋が破れて臓物が飛び出して動くように、廃棄物が関東平野を這いながら近づいてくる。海岸を埋める膨大な袋をドローンで撮った映像を視てしまった眼は、そういう妄想を抑えられない。黒い塊は生きている。現地では低濃度のそれを圧縮処理するプラントが試作されているが、いずれ気化し、粉塵となり、液状になっても、魑魅魍魎として跋扈する。高濃度の廃棄物はどうすることもできない。植物の細胞に沁み透り、動物の遺伝子を誤配線するだけではない。メルトダウンした原子炉の底を進むロボットを操るICチップスを錯乱させてしまうのである。
 百鬼夜行である。この物語を生きる東北の民が「鬼」と呼ばれる由縁だ。この一族の城となったゴミ屋敷を攻めるのが、1200年前の坂上田村麻呂が率いる5万の軍勢であり、今の福島で土木工事に駆り出されたクレーンとトラックの大集団である。「復興」と名づけられた封じ込めの攻撃なのである。真っ黒い袋に閉じ込められた長い時間が逆巻いて、それを阻もうとする。行政に撤去されるゴミ屋敷の主である老婆の名は「胆沢スエ」。坂上田村麻呂が攻めた蝦夷の砦が陸奥国の「胆沢城」。全編を通して「東北弁」で語られるミュージカル劇というのは初めてではないか。ほんとうは「東北弁」なんてないのだろう。これは架空の共通語。アフリカのスワヒリ語に近い。各地の山間や谷沢、盆地や港の言葉遣いを合成して創られた人工言語みたいものだ。あらゆるところにモノとコトバの仕掛けがある。時空の巣窟を飛び交う東北百鬼夜行絵巻を充分に愉しんだ。

 想像された古代とリアルタイムの現代を貫通させる物語はじつは危ないのである。ハーケンクロイツの神話もアマテラスとミカドの信仰も皆そういう欲望が生んだ兇悪なスペクタクルだ。多くの知者がそんな幻影に惑わされる今、ステージに積まれた「黒い袋」の物質感がそれを許さない。「まつろっちゃってる」自分に黒い鬼たちがムズムズと這いよるのである。私はイシュマエル・リードの綺想小説『マンボ・ジャンボ』を想う。そこでは踊る肉体のリズムが読む者を震動させて、古代アフリカ幻想への没入をブロックするのである。
 「前衛」への渇望を喪って20年。大江戸先住民を装って新宿2丁目の暗がりからローカルなテーマばかりを掘ってきたが、前衛はテクノロジーの界面やピュアな抽象空間だけにあるわけではない。台湾の「海筆子」などにも含めて、ローカルなアヴァンギャルドが生まれる予感を感じる。

次回公演
演劇集団 風煉ダンス『まつろわぬ民 2018』
2018年11月15日(木)&16日(金)
場所:三鷹市公会堂・光のホール
作・演出:林周一 共同演出:笠原真志
出演:白崎映美 伊藤ヨタロウ 反町鬼郎 リアルマッスル泉 ほか





◇◆◇◆ ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ ◇◆◇◆

いつかは屍になる者どもよ
風に舞う死者の声を聞け
その胸に小さき炎を燃やし

立ち上がれ言葉
ひるむな魂よ
おまえの援軍はここにいる

「まつろわぬ民」とは、“あらがい迎合しない者”

◇◆◇◆ ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ ◇◆◇◆



▼まつろわぬ民2018 特設サイト
https://alafura6.wixsite.com/furendance

演劇集団 風煉ダンス
東京・酒田・八戸 三都市連続公演
『まつろわぬ民2018』

◆11月15日19:00、16日14:00
三鷹市公会堂・光のホール
◆12月1日(土)13:30
酒田市民会館・希望ホール
◆12月7日(金)14:00/19:00、8日(土)14:00
八戸市公会堂文化ホール

まつろわぬ民とは ”あらがい迎合しない者”
舞台は怪しげな老婆が住む一軒のゴミ屋敷。役所によるゴミの強制撤去が行われようとしたその時、ゴミと思ったものはいつしか魂の宿った付喪神! 長い眠りは解かれ、押し込めた記憶が現代に馳せて問いかける。
この作品は、忘れ去られる者、虐げられながらも闘い続けている者に思いを寄せ、古代の東北と現代を大胆に往還する人力スペクタクル音楽劇。「上々颱風」「東北6県ろ〜るショー!!」の歌姫・白崎映美を主演に迎え、2017ツアーでは東京、いわき、山形で3千人を動員した。2018は、白崎の生まれ故郷の酒田、そして「まつろわぬ民」の原点である八戸にて、新キャスト新演出で再び壮大な舞台を立ち上げる。

作:林周一 演出:林周一 笠原真志
音楽・演奏 辰巳小五郎 関根真理 ファン・テイル
出演:白崎映美 伊藤ヨタロウ
反町鬼郎 リアルマッスル泉 吉田佳世 吉成淳一
御所園幸枝 笹木潤子 堀井政宏 山内一生 飯塚勝之
柿澤あゆみ 塚田次実 内田晴子 外波山流太
サモ★ハン 木村勝一(ごめ企画) 仲坪由紀子
服部ひろとし 奈賀毬子(肯定座)岸野健太(てがみ座)柾谷伸夫(ごめ企画・八戸公演のみ出演)
林周一 笠原真志
チケット:全席自由/入場は当日受付順
一般(前売・当日共) 4,500円
       ペア割 8,000円(2名様) 
        U25  2,500円 
       中高生  1,000円
東京公演・前売り開始:9月1日10:00
◆Quartet Online(カルテット・オンライン)
 https://www.quartet-online.net/ticket/tokyo-maturowanu2018

▼演劇集団 風煉ダンス
https://www.facebook.com/furendance/
http://www.furen-dance.info/about.html
▼風煉ダンスの軌跡 ( 1990年〜2015年)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=33&v=aTh0iPFoWr0

▼白崎映美
https://www.facebook.com/emishirasaki
▼白崎映美&東北6県ろ~るショー!!
https://www.facebook.com/tohogu6/
▼フォトエッセイ『鬼うたひ』白崎映美著 亜紀書房
http://www.akishobo.com/book/detail.html?id=756

▼林周一 https://www.facebook.com/syuichih
▼笠原真志 https://www.facebook.com/masashi.kasahara.3?fref=ufi
▼伊藤ヨタロウ
https://www.facebook.com/itoyotaro
▼辰巳小五郎
https://www.facebook.com/mitsuhide.tatsumi
▼木村勝一
https://www.facebook.com/profile.php?id=100007817821536

▼小説『イサの氾濫』木村友祐著/未來社
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624601195
▼木村友祐 https://www.facebook.com/yusuke.kimura.794

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼『まつろわぬ民』2017特設サイト
https://furendance.wixsite.com/matsurowanu2017
▼風煉ダンス公演「まつろわぬ民2017」 予告編
https://www.youtube.com/watch?v=ib6Njrg-UvQ
▼『えんぶ』no.6(2017年8月号)
【特集】演劇集団 風煉ダンス公演『まつろわぬ民 2017』
http://enbu.shop21.makeshop.jp/shopdetail/000000007746/ct2331/page1/order/
▼風煉ダンスが問題作『まつろわぬ民』2017を再演、白崎映美、伊藤ヨタロウら出演で東京&東北巡演
https://spice.eplus.jp/articles/125788
▼風煉ダンス  たちかわ創造舎
https://tachikawa-sozosha.jp/share-office-member/furen-dance


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    Posted by 放課後倶楽部♪DX  at 15:19 │Comments(0)演劇

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